結論を先に

サイトが「HTML・CSS・JS のファイルを配るだけ」で完結するなら、レンタルサーバーを契約する必要はありません。Cloudflare Workers・GitHub Pages・Vercel の無料枠で運用できます。レンタルサーバーが要るのは、PHP と DB をサーバー側で動かす WordPress のようなサイトです。

本記事の金額はすべて 2026年10月17日時点の税込(以下同じ)、各サービスの制限値は同日に公式ドキュメントで確認したものです。

作りたいもの無料枠で足りるか候補
Astro・Hugo・Jekyll、Next.js の静的書き出し(output: "export")で作った個人サイト・ポートフォリオ・技術ブログ足りるCloudflare Workers(Static Assets)、GitHub Pages、Vercel Hobby
上と同じ作りで、アフィリエイトリンクや広告を載せるサイト足りる。ただし Vercel Hobby は不可Cloudflare Workers、GitHub Pages
WordPress(PHP と MySQL が要る)足りない共用レンタルサーバー
お問い合わせフォーム・ログイン・DB を持つ自作アプリ足りない(無料枠でも一部可だが本記事の対象外)VPS、または各サービスの有料プラン
メールアドレスも同じドメインで持ちたい足りない共用レンタルサーバー(メール機能つき)

「静的サイト」とは何か

サーバーがリクエストのたびにプログラムを実行しないサイトのことです。ビルド時に HTML を全部生成しておき、あとはファイルを配信するだけ。WordPress のように、アクセスのたびに PHP が DB を読んでページを組み立てるものは「動的サイト」です。

静的サイト動的サイト(WordPress など)
サーバーで動くものなし(ファイル配信のみ)PHP・MySQL
生成のタイミングビルド時に全ページアクセスのたび
必要なホスティング静的ホスティング(無料枠あり)レンタルサーバー・VPS
更新のしかたソースを直してビルド・デプロイ管理画面から投稿
代表的なツールAstro、Hugo、Jekyll、Next.js の静的書き出し、GatsbyWordPress、その他 CMS

「JS を使っているから動的」ではありません。ブラウザ側で動く JS だけなら静的サイトです。判断の分かれ目はサーバー側でコードが動くかの 1 点です。

このサイト(レンタルサーバー比較ナビ)も Next.js の静的書き出しで作り、Cloudflare Workers の Static Assets で配信しています。

同じ構成で公開する手順と、アクセス解析タグが欠けた際の確認方法はNext.jsの静的サイトをCloudflare Workersへ公開する手順にまとめました。

3 つの無料枠を比べる(2026年10月17日時点・公式ドキュメント)

Cloudflare Workers FreeGitHub PagesVercel Hobby
商用利用制限文は確認した公式ページに見当たらず(禁止されていない、とまでは断定しない)オンラインビジネス・EC・商取引促進・商用 SaaS を主目的とするサイトは不可。アフィリエイト・広告についての明文はなし非商用の個人利用のみ。アフィリエイトリンクが主目的のサイト、広告掲載、決済、制作の対価受領はすべて商用
静的ファイルへのリクエスト無料・無制限公式に記載なし公式に記載なし
帯域(転送量)静的アセットは無制限100GB/月(ソフトリミット)100GB/月
Worker/Function の実行100,000 リクエスト/日、CPU 10ms/回なしFunction 100万回/月、Active CPU 4 時間/月
ファイル数・サイズ20,000 ファイル/バージョン、25MiB/ファイル公開サイト 1GB 以下、リポジトリ推奨 1GB公式に記載なし
ビルド公式に記載なし(Pages は 500 回/月・同時 1・20 分)10 回/時(ソフトリミット。GitHub Actions のカスタムワークフローは対象外)、デプロイ 10 分でタイムアウト45 分/デプロイ、同時 1、デプロイ 100 回/日
プロジェクト・ドメイン公式に記載なし(Pages は 100 プロジェクト、100 ドメイン/プロジェクト)公式に記載なし200 プロジェクト、50 ドメイン/プロジェクト
超過時Worker のリクエストは Error 1027(ルートを fail open にすると Worker を通さずに処理)具体的な措置の文言は未確認30 日経過まで当該機能が利用不可
その他新規は Pages ではなく Workers が公式推奨Git の Organization リポジトリとは接続不可

「公式に記載なし」は書いていないだけで無制限という意味ではありません。上限が問題になりそうな使い方(動画を大量に置く、月に何十万 PV もある)なら、各社の最新ドキュメントを読んでください。

Cloudflare Workers(Static Assets)

  • 静的アセットへのリクエストは「無料・無制限」と公式に明記されています(原文 "Requests to static assets are free and unlimited.")。Worker のスクリプトを通すリクエストだけが 100,000 回/日 の枠を消費するため、純粋な静的サイトなら日次上限に当たりません
  • 注意点は 1 つ。run_worker_first で「先に Worker を通す」設定にすると、そのパスは無料枠超過時に 429 を返します。リダイレクト用の小さな Worker を置くときは、対象パスを絞ってください
  • 以前は「Cloudflare Pages」が静的サイトの受け皿でしたが、公式トップは「新規プロジェクトは Workers で始めること」としています。Pages が廃止と明記されているわけではありませんが、これから作るなら Workers の Static Assets を選びます

GitHub Pages

  • リポジトリに push するだけで公開でき、GitHub Actions で Astro や Hugo のビルドも回せます。帯域 100GB/月・ビルド 10 回/時はいずれもソフトリミットです
  • 商用利用の制限は「オンラインビジネス・EC・商取引の促進・商用 SaaS を主目的とするサイト」が対象で、アフィリエイトや広告については明文がありません。EC や SaaS を置くのは避け、個人サイトや技術ブログの範囲で使うのが無難です

Vercel Hobby

  • Next.js の開発元で、ビルドからデプロイまでの手数が少ないのは事実です。ISR やサーバー側レンダリングも無料枠で試せます
  • ただし、Hobby は非商用の個人利用に限られます。公式の公正利用ガイドラインは商用利用の例として、訪問者への課金・決済、商品やサービスの販売広告、サイト制作やホスティングの対価受領、「アフィリエイトリンクがサイトの主目的であること」、Google AdSense などの広告掲載を挙げています。該当するなら Pro 以上が必要です

運営者の経験:Vercel から Cloudflare Workers に移した理由

私は本業でバックエンドとインフラを担当しているエンジニアで、個人のサイトを運営しています。最初は Vercel Hobby に置いていました。Next.js との相性が良く、push すれば反映される手軽さは今でも魅力だと思っています。

移した理由は性能でも料金でもなく、利用規約です。サイトにアフィリエイトリンクを載せた時点で、上に引用した「アフィリエイトリンクが主目的のサイト」に当たる可能性が高く、Hobby のまま運用を続けるのは規約違反になります。選択肢は Pro に上げるか、商用利用を制限していないホスティングに移すかの二択でした。

サイトは Next.js の静的書き出しで、サーバー側の処理を持っていません。Cloudflare Workers の Static Assets なら「静的アセットへのリクエストは無料・無制限」で、商用利用を制限する文言も公式ページにありません。移行作業は output: "export" で out/ を書き出し、wrangler.jsonc で assets に指定してデプロイするだけで、Next.js 側のコードはほぼ変えずに済みました。

移して困ったことは 2 つあります。

  • NEXT_PUBLIC_* の環境変数はビルドしたマシンの値が HTML に焼き込まれる。.env.local が無い状態でデプロイすると、アクセス解析のタグが消えた HTML が本番に出ます(実際に一度やりました)。Vercel ではダッシュボードに設定した環境変数でビルドされるので、手元の .env.local の有無には左右されません
  • *.workers.dev から後で独自ドメインに移すと、URL が変わる。301 リダイレクトの設定や、検索エンジンへの登録のやり直しが必要になります。独自ドメインを取るつもりなら、最初から取っておくほうが楽です

規約の話は地味ですが、サイトが育ってから「実は違反していた」と気づくのが一番困ります。広告やアフィリエイトを載せる予定が少しでもあるなら、Vercel Hobby は最初から候補に入れないのが私の結論です。

無料枠で足りなくなる瞬間

静的サイトで始めても、次のどれかが要るようになった瞬間に「ファイル配信だけ」では済まなくなります。

要るようになったもの無料枠のままで済ませる方法済まないとき
お問い合わせフォーム外部のフォームサービス(Google フォームなど)に飛ばす自前で受けたいなら Worker/Function か VPS
コメント・ログイン・会員機能外部サービスを埋め込むDB と認証が要るので VPS か有料プラン
独自ドメインのメールアドレス静的ホスティングにメール機能は無い。別途メールサービスを契約共用レンタルサーバーはメールが付いてくる
WordPress を使いたい無理。PHP と MySQL が動かない共用レンタルサーバー
自作の Web アプリ(API・DB・常駐処理)小さなものは Worker/Function の無料枠で動くが、本記事の対象外VPS

WordPress を使うなら:共用レンタルサーバー

「管理画面から記事を書きたい」「テーマやプラグインを使いたい」「ビルドやデプロイという作業をしたくない」なら、静的サイトではなく WordPress で、置き場所は共用レンタルサーバーです。PHP・MySQL・SSL・バックアップ・メールが最初から揃っていて、WordPress の自動インストール機能もあります。

各社の料金と条件は レンタルサーバーおすすめ 8 社比較 にまとめています。WordPress の立ち上げ手順は WordPress ブログの始め方 を参照してください。

→ この条件なら ConoHa WING(WordPress かんたんセットアップあり、時間課金の通常料金はベーシックで月上限 1,452円。長期契約の WINGパックはこれより下がる)か シンレンタルサーバー(ベーシック 12ヶ月契約で月 1,232円、初期費用 0円)が候補です。

ConoHa WING:2026年10月24日13:40から、緊急メンテナンスのため新規申込の受付が一時停止されています。再開日は未定です(10月25日に公式サイトで確認)。

再開まではシンレンタルサーバーが候補です。

ConoHa WING

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GMO 運営。WordPress かんたんセットアップで初期構築が速い

2026年10月24日13:40から、緊急メンテナンスのため新規申込の受付が一時停止されています。再開日は未定です(10月25日に公式サイトで確認)。

詳細を見る

シンレンタルサーバー

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エックスサーバー社が運営。最新技術の積極導入を掲げ、ベーシックでも NVMe SSD 700GB

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自作アプリを動かすなら:VPS

Docker で組んだアプリ、常駐する bot、DB を持つ API を動かすなら、root 権限のある Linux サーバーが要ります。無料枠の Function で無理に動かすより、月 980円(ConoHa VPS 2GB・12ヶ月契約)から借りられる VPS のほうが構成が素直です。

3 社の比較は VPS 比較|個人開発・Docker・Minecraft 用途で選ぶ で、時間課金と月額契約の損益分岐まで書いています。

→ この条件なら ConoHa VPS(2GB が 12ヶ月契約で月 980円、時間課金なら 3.7円/時・月上限 2,033円)が候補です。

ConoHa VPS:2026年10月24日13:40から、緊急メンテナンスのため新規申込の受付が一時停止されています。再開日は未定です(10月25日に公式サイトで確認)。

再開までは XServer VPS かさくらのVPS が候補です。

ConoHa VPS

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時間課金に対応。Docker・LAMP などのテンプレートで環境を数クリックで用意できる

2026年10月24日13:40から、緊急メンテナンスのため新規申込の受付が一時停止されています。再開日は未定です(10月25日に公式サイトで確認)。

詳細を見る

よくある質問

Q. 無料枠で本当に独自ドメインを使えますか?

3 サービスとも独自ドメインを設定できます(Vercel Hobby は 50 ドメイン/プロジェクト、Cloudflare Pages は 100 ドメイン/プロジェクト)。ドメイン自体の取得・更新費用は別途かかります。

Q. Vercel Hobby で AdSense を貼るのはだめですか?

公式の公正利用ガイドラインは商用利用の例に Google AdSense などの広告掲載を挙げています。貼るなら Pro 以上にするか、別のホスティングに移してください。

Q. GitHub Pages でアフィリエイトサイトは運用できますか?

公式の制限文は「オンラインビジネス・EC・商取引の促進・商用 SaaS を主目的とするサイト」を対象にしており、アフィリエイトや広告についての明文はありません。「禁止されていない」とまでは私も断定しませんが、Vercel Hobby のような名指しの禁止は無い、というのが 2026年10月時点の公式ドキュメントの状態です。

Q. Cloudflare Pages と Workers、どちらで作ればいいですか?

これから作るなら Workers(Static Assets)です。公式が「新規プロジェクトは Workers で始めること」と案内しています。すでに Pages で動いているサイトを急いで移す必要はありません。

Q. 静的サイトでもアクセス解析はできますか?

できます。Google Analytics や Microsoft Clarity はブラウザ側で動くタグなので、静的サイトに埋め込めます。ただし前述のとおり、Next.js の静的書き出しでは NEXT_PUBLIC_* の値がビルド時に焼き込まれるので、デプロイするマシンの環境変数を確認してください。

Q. 無料枠を超えたらどうなりますか?

Cloudflare Workers は Worker のリクエストが上限を超えると Error 1027 を返します(ルートを fail open にした場合は Worker を通さずに処理されます。静的アセットは無制限なので、静的サイトでは起きません)。Vercel Hobby は 30 日経過まで当該機能が使えなくなります。GitHub Pages は超過時の具体的な措置の文言を公式ドキュメントで確認できませんでした。

まとめ

あなたのサイト置き場所
静的サイト、広告・アフィリエイトなしCloudflare Workers、GitHub Pages、Vercel Hobby のどれでも無料
静的サイト、広告・アフィリエイトありCloudflare Workers か GitHub Pages。Vercel Hobby は不可
WordPress共用レンタルサーバー → 8 社比較
自作アプリ・DB・常駐処理VPS → VPS 比較

「無料で運用できるか」の答えは、サーバー側でコードが動くかどうかで決まります。動かないなら無料枠で十分で、レンタルサーバーに払う理由はありません。動くなら、WordPress は共用サーバー、自作アプリは VPS。この切り分けを先にしてから、比較ランキング で各社を見比べてください。

※ 本記事の制限値・規約の引用は 2026年10月17日時点の各社公式ドキュメントによるものです。無料枠の条件は予告なく変わるため、利用前に必ず公式ドキュメントをご確認ください。